【地政学編】カナダ ~多種多様な資源を豊富に産出する北米の資源大国~

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皆さんお疲れ様です。クラッド(@kura_investment )です。
いつも【クラッドの投資で自由を掴むブログ】を見て頂きありがとうございます。
今回はカナダについて地政学的視点を織り交ぜつつお話します。




カナダの概要


概要

カナダは北米大陸の北部に位置し、国土面積は世界第2位と広大な面積を有する。
北は北極海・東は大西洋とグリーンランド・西は太平洋・南はアメリカ合衆国に
面している。国土の大部分は冷帯および寒帯に属しているが、太平洋側は温帯に
属しており、多様な気候を有する。
世界有数の資源大国として知られており、原油・天然ガスなどのエネルギー資源を
豊富に産出するだけではなく、広大な国土の約4割が森林地帯となっており、木材
資源も豊富。また、南部には大規模な農業地帯が広がり、農業大国でもある。
水産物の輸出に関しても世界有数の規模を誇る国家であり、多様な資源を有する。
パルプ・製糸工業・自動車産業も発展しており、アメリカとの経済的な結びつき
は非常に強固。近年は資源依存経済からサービス業へと産業構造が転換。
【人種のるつぼ】と呼ばれるほどの多民族国家で有名であり、他宗教や他民族に
寛容で移民も年間約20万~25万人ほどが流入しており人口は増加傾向を維持。

◇カナダ:Canada

◇公用語:英語、フランス語

◇首都:オタワ

◇首相:ジャスティン・トルドー

◇国土面積:9,984,670k㎡(世界第2位)

◇人口:3728万3090人(世界第38位 2019年)

◇GDP(名目 IMF統計):1,711.39(10億ドル)(世界第10位 2018年)

カナダの歴史

この章ではカナダの歴史についてお話しようと思います。
カナダの成立にはフランスとイギリスが非常に大きく関わっています。

それでは、以下のカナダの歴史の概要とまとめておきます。

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◆4万年前 シベリアから北米へ
4万年前の氷河期にモンゴロイドがシベリアから当時陸続きだったベーリング海峡を
渡り、北米大陸に移動。これが、現在のインディアンやイヌイットの先住民となる。
彼らは狩猟生活を営んでいた。
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◆9世紀~11世紀 ヴァイキングの襲来
北欧からヴァイキングがアイスランド経由からニューファンドランド島に到来。
ただし、ヴァイキングの居住地として永続せず。
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◆西洋のカナダ発見と進出
1497年にイギリスのヘンリ7世が派遣したイタリア人のカボットがヨーロッパ人として
ノヴァ=スコシア、ニューファンドランドに到達。この海域は豊かなタラ漁場であり、
フランスやポルトガルの漁師が殺到した。
1534年にフランスのフランソワ1世がジャック=カルティエを北米に派遣、
セントローレンス川流域を探検。カルティエはこの地をカナダと名付け、フランスは
1534年に領有を宣言し、フランス領となる。1603年以降には五大湖地方からミシシッピ川流域に南下して植民地を拡大した。
イギリスはハドソン湾地方が豊かな毛皮産地であることに注目し、インディアンとの毛皮貿易を開始。カナダ西部の内陸地方にも進出したが、次第にフランスとの競争が激しくなった。
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◆フランスとイギリスの北米植民地戦争
18世紀のイギリスとフランスの植民地を巡る対立は北米大陸でも激しくなります。
スペイン継承戦争(北米ではアン女王戦争)後にフランスはニューファンドランド、ハドソン湾地方をイギリスに割譲。
フランス領はケベックを中心としたセントローレンス川流域から、五大湖地方、ミシシッピ流域のルイジアナに及ぶ地域となります。

1756年~63年の七年戦争(北米ではフレンチ=インディアン戦争)が起き、イギリス軍がフランスの拠点ケベックを占領。
1763年のパリ条約でフランスはカナダ側の大部分をを放棄し、イギリス領カナダ植民地が成立。
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◆イギリス領カナダ植民地の変遷
1793年にはロッキー山脈を越えて大陸横断が成し遂げられ、太平洋側まで植民地が拡大。
1867年に北アメリカ法が制定され、イギリス帝国の下で自治権を有する【カナダ連邦】が
成立。外交権はイギリスに帰属されており、完璧な独立国家ではなかったが、自治権が認め
られた7月1日をカナダの独立記念日とされています。
1885年にはカナダ太平洋鉄道が完成し、大西洋岸と太平洋岸が結ばれた。

自治領とは
イギリスの自治領とは、国家元首としてイギリス国王を戴き、外交・国防・通貨などは本国の統治を受けるが、その他については独自の議会と政府を有して自治を行うことができる国家形態。
白人が優位に立っているカナダに対してこのような自治権を最初に与えた。
1901年にオーストラリア連邦、1907年にニュージーランド、1910年に南アフリカ連邦を自治領とした。
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◆独立国家への歩み
1914年に勃発の第一次世界大戦に参戦。それにより戦後の1926年に外交権を獲得。
1931年のウェストミンスター憲章によりイギリス連邦の構成国となり、イギリスと対等な主権国家となり、実質的な独立を達成した。
第二次世界大戦後の1949年ににニューファンドランドがカナダ連邦に加わる。
1982年には独自のカナダ憲法を制定し、完全な独立国家となります。現在でもイギリス連邦の
一員ではあり、依然としてイギリス女王を戴く立憲君主国にとどまっているが、イギリスとの関係はまったく形式的なものになっている。イギリス系住民とフランス系住民、さらに多くの移民が共存する多民族国家としての道を歩み、現在に至る。
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◆おまけ カナダの国旗
皆さんもご存知かと思いますが、カナダの国旗はカエデの葉(メイプルリーフ)を図案化した
ものです。
これは1964年の12月に決定され、1965年2月15日に国旗として初めて掲揚されました。

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この様にカナダはその成立の歴史から西洋諸国の影響を色濃く受けてきました。
カナダは最初はフランスの影響が大きく、次いでイギリスが長らく支配下に置いて
いました。その後、世界の覇権国がイギリスからアメリカに移っていく過程において、
徐々にイギリスの影響力が低下し、アメリカの影響力が強くなっていきます。

それは現代のカナダとアメリカの貿易という一側面を見てもよくわかるかと思います。

2016年のカナダの輸出入の割合
輸出 1位:アメリカ76.2% 2位:中国4.1% 3位:イギリス3.3%
輸入 1位:アメリカ52.2% 2位:中国12.1% 3位:メキシコ6.2%
という比率になっており、カナダの貿易相手国は輸出入ともにアメリカがダントツという
状態となっています。
この様に経済的つながりだけ見ても現代はイギリスやフランスよりも圧倒的にアメリカと
の繋がりが深い事がわかります。

さらには、カナダの外交方針にもその姿勢が見て取れます。

カナダの外交基本方針

カナダは伝統的に米国を最も緊密な同盟国と位置付け,対米関係を最重要視。更に国連,NATO,G7,WTO,米州機構等の多国間の枠組みを活用した多国間外交を展開。
引用先:カナダー外務省

この様にカナダは対米関係を最重視しています。
ただ、イギリス系やフランス系などからの移民で成立したという歴史的経緯もあり多様な民族を受け入れるという方針をとっています。
1971年に世界で初めての多文化主義を導入した国でもあります。

まとめ
カナダは現代は対米関係を最重視しつつも、その成立の歴史から多文化に対して寛容な政策を取っている。

 




カナダの自然環境 ~自然環境に分断された大国~

この章ではカナダが有する自然環境についてお話します。

まずは、今後いくつか出てくるカナダの州について先にお話して、
位置関係を把握してもらえたらと思います。

カナダの行政区分は10の州と3つの準州に区分されています。


(白地図ぬりぬり様よりクラッド作成)

1:ブリティッシュコロンビア州
2:アルバータ州
3:サスカチュワン州
4:マニトバ州
5:オンタリオ州
6:ケベック州
7:ニューブランズウィック州
8:ノバスコシア州
9:ニューファンドランド・ラブラドール州
10:ユーコン準州
11:ノースウエスト準州
12:ヌナブト準州
13:プリンスエドワード島州
(※8と13の色が同一となっていますが、白地図ぬりぬり様の仕様でこの配色となっています。)
この様になっています。

さてさて、それでは本題であるカナダの自然環境についてお話します。

カナダと言えば自然が非常に豊そう!と皆さんは思うかと思います。
事実カナダには多くの自然の恵みが存在しています。

・五大湖とセントローレンス川により、オンタリオ州とケベック州間の水上
航路の存在
・ノバスコシア州には大西洋に面したハリファクスが、ブリティッシュコロンビア州
には太平洋に面したバンクーバーという世界トップクラスの自然の港
・アルバータ州南東部からマニトバ州南西部に広がる広大なプレーリー地帯は
腐葉土の肥沃な土壌であり、農業に非常に盛ん
(他にも各種膨大な天然資源を有しますが、この章では割愛)

この様に
カナダ全土を見渡すと世界でも有数の恵まれた自然環境が存在します。

これを見ると、観の鋭い方は、北米大陸に位置し、太平洋と大西洋に面するカナダは
アメリカと同様に世界の
覇権国になりえる潜在力があるのではないか?と思う方が
いるかもしれません。


ただ、私は自然の制約的にカナダが世界の覇権国になる事はないと思います。
以降で、その理由をお話していきます。


(カナダの主な自然地形 クラッド作成 作図のレベル低くてごめんなさいm(__)m)

まずは、上記の図を見て下さい。これはカナダの地形を大雑把ですが表したものとなります。
カナダを西から東へ順に見ていくと、まず、ロッキー山脈が存在します。
ここでのロッキー山脈はアメリカとは違い高緯度に位置するために、冬には往来自体が
出来なくなります。また、アメリカの様に開けた広大な土地も存在しません。

ついで、プレーリーが存在し、南部のアメリカとの国境付近を中心に肥沃な土壌が
広がっています。

そして、カナダ北部にはカナダ楯状地が存在します。この土壌は氷河期に侵食された
土地となり、土壌層は薄く、浅く、そして栄養源も少ない痩せた土地となります。
また、土地を開墾しても大きく改善はせず、広大な針葉樹林が広がり、さらに高緯度
になればツンドラの不毛な土地が広がるのみとなります。

鉱物資源と森林資源・水力発電立地としての経済的価値は存在しますが、居住人口は
まばらとなっており、産業も発達していません。
さらに、小さな湖が無数に点在するために、交通インフラの整備が非常に困難となって
います。

最後に、国境の五大湖とセントローレンス川は航行が可能となっています。
周辺となるオンタリオ州には1432万人、ケベック州には839万人の人口(2018年)を
有し、カナダ全人口の約61%を占めているカナダの政治・経済の中心地となります。

ただ、セントローレンス川はモントリオールとケベックシティーを抜け、大西洋に
出ると、湾という形で広がっているため、カナダ東部の島々は本土からは離れています。

この様にカナダは地理的制約により、諸地域は分断されており、
それぞれの
地域は孤立している環境となります。

この国土全体が地理的制約により分断されている事が、カナダという国家が
覇権国となりえないと考える理由となります。

もし、カナダにアメリカの様なミシシッピ川という大河川が存在していたら、
カナダという国家は今とは違った歴史を歩んでいたことでしょうね。

まとめ
恵まれた自然環境を有するが、地形的制約により
カナダは分断されている。

カナダは世界有数の資源大国

この章ではカナダの産業とエネルギー資源についてお話します。
カナダは豊富なエネルギー資源・農林水産物を輸出し、機械類・自動車などを
輸入している国家となります。

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エネルギー資源

◆石油
アルバータ州及び北部の準州で大規模な油田を有する。特にアルバータ州にある
オイルサンドはサウジアラビア・ベネズエラに次ぐ世界第3位の埋蔵量を誇る。
生産量:255,482千トンで世界第4位。(2018年)
輸出額:66,892百万ドルで世界第5位。(2018年)

確認埋蔵量:167,815百万バレル(オイルサンドを含む。)で世界第3位。(2018年)
自給率:242%

◆天然ガス
石油と同様にアルバータ州や北部の準州で豊富に産出しています。

生産量:184,722百万㎥で世界第4位。(2018年)
輸出額:7,451百万ドルで世界第9位。(2018年)

※シェール革命について
シェール革命とはアメリカで近年急激に進行しているエネルギー革命の事を
指します。シェール層(頁岩層)に蓄積されている天然ガスや原油を採取する
技術が開発され、アメリカは近年石油・天然ガスのエネルギー大国に変貌。
これがカナダでも進展しつつあります。

◆石炭
生産量:3595万トンで世界第13位。(2014年)

◆ウラン
産出量:14,039トンウランで世界第2位。(2016年)
埋蔵量:510千トンウランで世界第3位。(2015年)

◆アルミニウム
生産量:2880千トンで世界第3位。(2015年)
輸出量:2400千トンで世界第2位。(2012年)

◆鉄鉱石
埋蔵量:23億トン 世界第6位。(2016年)
産出量:2730万トン 世界第9位。(2014年)
輸出量:3686万トン 世界第5位。(2015年)

◆銅石
埋蔵量:1100万トン 世界第10位。(2016年)
産出量:69.6万トン 世界第9位。(2014年)

◆金鉱
産出量:152トン 世界第5位。(2014年)

◆白金 プラチナ
産出量:8.5トン 世界第4位。(2014年)


その他の鉱物資源は
◆カリ塩 産出量:1142万トンで世界第1位。(2015年)

◆ダイヤモンド 産出量:1060万カラットで世界第5位。(2013年)
◆ニッケル 産出量:22.3万トンで世界第5位。(2013年)
◆チタン 産出量:800千トンで世界第6位。(2013年)
◆モリブデン 産出量:2287トンで世界第9位。(2015年)
◆タングステン 産出量:2344トンで世界第4位。(2014年)
◆鉛 生産量:282千トンで世界第7位。(2014年)
◆亜鉛 生産量:649千トンで世界第4位。(2014年)
◆コバルトは世界第3位・ニオブは世界第2位・パラジウムは世界第3位(2015年)

カナダは上記の様にベースメタル・レアメタルに関わらず多種多様な
鉱物資源を
産出している国家となります。
石油でも天然ガスでも世界有数の生産規模を誇り、世界でも数少ない
エネルギー資源
純輸出国家となります。
さらに、近年は先進国を中心に原子力発電は敬遠されがちですが、ウランの
産出量では世界有数となり、資源大国として大きな存在感を発揮しています。

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食品・農林水産業

世界第2位と広大な国土を有するが、農地としての利用は約6%に留まります。
国土の大部分が森林・湖沼・山岳地帯となっており、北部は寒帯に属するため、
農業生産は不適となっているためとなります。
そのため、南部の米国との国境付近を中心に農業が行われておりますが、
その規模は6000万ha以上と世界有数の農業大国となります。

小麦、大麦、とうもろこし等の穀物、菜種、畜産業が盛んとなります。

さらに、農用地の約8割がアルバータ州・サスカチェワン州・マニトバ州を
中心に広がっており、これらの州で大部分が生産されている。

やや古いデータとなりますが、
2011年の穀物自給率は202%
2011年の食用穀物自給率は471%
となっています。
農作物・食料品の輸出額では世界第8位に位置します。(2018年)

以下に農作物・漁業資源での生産量BEST3を紹介します。

◆世界第1位(2017年)
エンドウ豆(乾燥) 4,629,827トン
菜種 21,328,000トン
アザラシ類 85,309頭

◆世界第2位(2017年)
ブルーベリー 160,246トン
クランベリー
からし(種子) 121,600トン
燕麦(エンバク・オーツ麦) 3,732,900トン
ギンダラ(銀だら)

◆世界第3位(2017年)
亜麻仁(アマニ) 507,606トン
などが有名となっております。

BEST3には入りませんがその他の主要穀物などは

小麦
生産量:2928万トンで世界第6位(2014年)
輸出量:1981万トンで世界第2位(2013年)

大麦
生産量:712万トンで世界第6位(2013年)

えん麦
生産量:291万トンで世界第2位(2013年)

大豆
生産量:605万トンで世界第7位(2014年)

木材(森林面積は国土の38.2%)
伐採量:163百万㎥で世界第6位(2016年)
輸出量:4017万㎥で世界第2位(2016年)
ちなみに日本の木材輸入先はカナダが923億円で世界第1位(2016年)です。

となっており、世界の主要穀物でも世界有数の生産・輸出規模となっております。
特に小麦・えん麦・木材はそれぞれ世界での輸出量では世界第2位となっています。

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まとめ
エネルギー資源でも、鉱物資源でも、農林水産物でも
世界有数の資源大国である。




カナダの人口動態と経済成長

この章ではカナダの人口動態と経済成長についてお話します。

まず、2019年のカナダの人口ピラミッドは下記に様になっています。

(引用先:populationpyramid.net)
カナダの人口ピラミッドはどの年齢層も同程度となっていますが、やや若年層
の比率が低下傾向となっています。
カナダは少子高齢化が進展している国家となっているのが実情となります。
2016年の出生率は1.6となっており、日本の出生率の1.42(2018年)と大きく
変わらない状態です。
さらに、カナダ統計局によれば、全人口に占める65歳以上の高齢者数が16.9%、
14歳以下の子どもの数が16.6%となっており、高齢者数が子どもの数を初めて
上回ったと発表しています。

次にカナダの人口推移と予測です。

カナダは少子高齢化が進展している国家でありながら、2100年の段階でも順調に
人口が増加していくことが予想されています。
それは、カナダへの移民人口が多い事が要因となっています。
2015年の移民出身国では
1位:フィリピン 50,816人
2位:インド 39,495人
3位:中国 19,512人
となっており、フィリピンとインドがダントツとなります。
移民の流入により、今後もカナダの人口増加が予想されています。
しかし、カナダへの移民の平均年齢は32歳とされており、今後の人口は移民に
より増加を維持するでしょうが、平均年齢も徐々に上昇を続け、高齢化社会突入への
回避は難しく、社会保障などの財政負担が拡大される事が予想される状態の様です。

次にカナダの名目GDP(ドル建て)です。


(引用先:世界経済のネタ帳)
カナダはほぼ毎年GDPが安定して拡大している国家となります。
なお、自国通貨建てでのGDPではキレイな右肩上がりを1980年頃からずっと
継続している国であり、非常に安定して経済が拡大しています。
また、カナダの一人あたりGDPは46,260.71ドルで世界第20位(2018年)
なっており、日本以上に豊かな国家となります。
(※ 日本は39,305.78ドル 2018年)

まとめ
少子高齢化社会になりつつも、移民の流入で人口増加を維持し、経済成長は持続する事が予想される。

カナダの抱える2つの州の分離独立問題


さて、これまでカナダの地政学について書いてきましたが、
国土が自然環境により分断されている。
という事以外は特別なハンデもなく(これも本来非常に大きな問題ではあるが)、
これからもカナダの発展は安泰の様に思います。
ただ、カナダは自然環境以外にも抱えている大きな問題があり、この章ではそれについて
お話します。

それは
カナダを構成している州のうち2つの州が現在、もしくは将来にわたり
分離独立を目指す
可能性がある。
という事です。
これが、実現した場合カナダという国家は将来大きく変容させる事は確実なので、
それについて少し触れたいと思います。

今回お話する2つの州は
2:アルバータ州と6:ケベック州となります。
(カナダの自然環境の項目で位置を把握するとわかりやすいかと思います。)

カナダについて少しでも知識がある方は分離独立と聞いたら、ケベック州を思い浮かべる
と思いますので、こちらの方から
お話していきます。

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ケベック問題

◆概要
人口:8,390,499人(2018年の推計値)(国内第2位)
面積:1,542,056 km²(国内第2位)
州GDP:3628億4600万カナダドル(2013年)(国内第2位)
州都:ケベックシティー
最大都市:モントリオール

ケベック州はその歴史から伝統的にフランス系カナダ人が多く住んでいる地域と
なります。
全人口の約4分の1を占めており、そのうちの8割がケベック州に住んでいます。
さらに、ケベック州のみ公用語にフランス語を指定しており、ケベック州はフランス
の影響が色濃く残っている地域となります。
ケベック州の人口は国内第2位となりますが、一人あたりのGDPで見ると、カナダ平均
より低い状態となっています。
かつては、オンタリオ州と並ぶカナダ経済の中心地でしたが、州政府の失政により、
ケベック州の経済的影響力は低下しました。
近年ではモントリオールを中心にハイテク産業が興隆。
政府による積極的な人材投資と企業誘致により北米におけるソフトウェア産業の一大中心地
に変貌しています。
また、セントローレンス川沿いは肥沃な農地であり、酪農、野菜、果物、メープルシロップの生産が盛ん。特にメープルシロップは一大産業であり、世界の生産量の75%を占める。
その他林業・製紙業・水力発電が盛んで、ケベック州の電力需要の99%が水力発電によるものとなります。

◆略史
1603年 フランス植民地として成立。
1755年~1763年 フレンチ・インディアン戦争でイギリス領に併合。
1867年 カナダ連邦の構成州に。
現在でもフランス系カナダ人が多数を占め、フランス語圏として存在。
1960年頃から分離独立が開始される。
1969年 英語とフランス語が対等な公用語として制定された。
1980年 ケベック独立投票第一回目 反対60%賛成40%で否決
1995年 ケベック独立投票第二回目 反対50.6%賛成49.4%で否決

◆現況と独立運動
ケベックはその成立の過程から歴史的にフランス系移民が多く在住するために、

他のカナダの州とは違う歴史を歩んだことから現在の分離独立的な動きになっています。

ケベックの分離独立に関して現在ではケベック党を中心に行われており、交渉や
議論などの平和的手段による運動が中心となっています。
しかし、1963年から1970年には一部の過激派が暴力に訴える事があり、ケベック解放戦線
による爆弾テロや脅迫が行われ、多くの犠牲者を出したこともありました。

この様にケベック州の独立運動は活発になっておりましたが、カナダ中央政府が20世紀
の終わりにケベック州への財政移転(要するに分離独立をしない様に買収した。)する事で、
ケベック州の分離独立活動は現状は下火となっています。
が、また再燃する可能性は十分あります。

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アルバータ州

◆概要
人口:4,307,110 人(2018年の推計値)(国内第4位)
面積:661,848km²(国内第6位)
州GDP:2,952億76万カナダドル(2011年)(国内第3位)
州都:エドモントン
最大都市:カルガリー

アルバータ州は国内で唯一州税が課されていません。それは豊富に産出する石油や
天然ガスの恩恵となります。アルバータ州はカナダのエネルギー州として知られて
います。オイルサンド産業の伸長に伴い国内外から多くの移民が流入した結果、
人口は増加傾向であり、
平均年齢は36.1歳と国内で最も若い州となります。

アルバータ州の一人あたりのGDPは西側諸国の中ではルクセンブルクに次いで
二番目に豊かで
あり、8万5000ドルとなっています。
(2018年のカナダ全体の一人あたりのGDPは46,260.71ドル)

◆現況と将来性
アメリカのシェール革命の影響はカナダのエネルギー業界を直撃し、
同州の発展に大きく貢献していたオイルサンドの開発に急ブレーキを
かけました。
このオイルサンドの開発は2010年~14年に、アルバータ州の経済成長率を
年率5.5%に引き上げました。しかし、2014年の原油価格暴落により、
リセッション(景気後退)に陥りました。

そんなアルバータ州ですが、近年ではシェール革命の進展に注目を浴びつつ
あります。
特に同州中部のデュバネイとブリティッシュコロンビア州のモントニーという
2つのシェール層に大きな注目が集められています。

この2つのシェール層には天然ガス500兆立法フィート、液化天然ガス200億バレル
石油45億バレルの埋蔵が予測されています。
これらはアメリカで最も生産量の多いシェールガス田に匹敵する可能性が
あるとされます。

アルバータ州のシェール革命は現在進行形で進んでおり、既に同国の
石油生産全体の8%を占めるに至っています。
そのため、今後のアルバータ州ではシェール革命が進展するのでは?
と期待されています。

◆アルバータ州の分離独立
アルバータ州についての前置きが長くなりましたが、本題に入ります。
ここの説明については、【地政学で読む世界覇権 2030】を要約して
書きます。(興味がある人は一度読んでみるといいかもしれません。)

アルバータ州が抱える不満と問題点
・国家予算への過大な負担
・カナダドル高による輸出競争力の低下
・内陸部に位置するための輸送の問題
・中央政府の意向に逆らえない
以下にそれぞれについて説明します。

・国家予算への過大な負担
上述の様にアルバータ州民の収入は非常に高く、経済的に豊かとなって

います。財政的に非常に豊かになったために、2012年の国家予算への
唯一の純拠出者となり、160億ドル以上貢献しました。
【カナダの人口動態と経済成長】の章で紹介していますが、カナダは
今後少子高齢化の進展により、社会保障費の負担が増加する事が予想され、
今まで以上にアルバータ州への税負担が高まる可能性が予想されます。

・カナダドル高による輸出競争力の低下
高齢化の進展に伴い経常収支が変化してきており、緩やかに
カナダドルは
上昇(カナダドル高)を続けています。(日本でいう円高)

アルバータ州はエネルギー資源の輸出により稼いでいる地域となるので、
自国通貨高は価格競争力を削いでしまいます。

・内陸部に位置するための輸送の問題
アルバータ州産の石油はほぼ全量がアメリカに流れこんでおり、その地域は
地形的な要因により、アメリカ
で最も石油資源が豊富に産出されるシェール開発区
となります。

内陸部に位置するアルバータ州からはアメリカ以外の地域への輸出する計画は
現状
完璧に失敗しています。
そのため、アルバータ州経済を支えるエネルギー資源の輸出に大きな障害になる
事が予想されています。

・中央政府の意向に逆らえない
カナダを構成する13州の人口でアルバータ州は約430万人で国内第4位と
なります。そのため、第1位のオンタリオ州、第2位のケベック州での決定を覆すことが
できず、アルバータ州政府の意見を中央政府に反映させることが非常に難しくなります。

この様に豊富なエネルギー資源を産出し、非常に豊かなアルバータ州となりますが、
数多くの問題を抱えており、その解決のためにカナダからの分離独立という選択肢を
選ばないとは言い切れません。
現時点ではアルバータ州の分離独立の話が話題にのぼる事はありませんが、
カナダの高齢化の問題は年々深刻化していきますし、いずれ表面化する可能性が
高いのではないかと思います。

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さて、ケベック州とアルバータ州の2つの州について紹介しましたが、
個人的にはケベック州よりアルバータ州の分離独立の可能性が高いように感じました。

アルバータ州が仮に分離独立した場合、カナダという国家はおそらく分裂する
かと考えられます。特にアルバータ州に隣接するアメリカ国境のブリティッシュコロンビア州、サスカチュワン州はそれぞれ同様の選択を行い、カナダから離脱するのではないかと
されています。
さらに、この3州は経済的な繋がりからもアメリカへの新たな州としての編入を望む
でしょうし、そうする事の方が経済的に安定するでしょう。
こうなった場合、ケベック州も自立の道を模索するでしょうし、カナダ政府も
それを止めるだけの力がないように思います。

それは、【カナダの自然環境 ~自然環境に分断された大国~】でも書きましたが、
カナダの諸地域は地形的に分裂し孤立しているため、中央政府が集権的に国家を
統治する事が難しいからです。

そういう意味では、ケベック州とアルバータ州の分離独立の可能性という火種を
カナダは抱えています。

まとめ
これからの未来はわからないが、カナダという国家は将来分裂している可能性が存在する。




終わりに


今回は北米の大国、カナダについて紹介しましたが、如何でしたでしょうか。
北米と言えば、どうしてもアメリカ!の影響力が強いためカナダはその陰に隠れがちに
なっているかと思います。
ですが、今回の記事で紹介させて頂きましたがカナダって実はめちゃめちゃすごい国家
なんですよ。それが少しでも伝わっていれば嬉しいです。

カナダは移民流入により人口は増加を維持、
漁業・林業・農業・鉱業・製造業・IT業・サービス業ともに世界でもこれだけ
多くの業界で有数の規模を誇る事はなかなか難しい事かと思います。
ただ、本記事でも紹介させてもらいましたが、カナダの抱える問題としては、
アルバータ州とケベック州の今後の動向は注目すべき点かと思います。

さらに今回は触れていませんが、カナダは北極海に面する国家です。


以前ノルウェーについての記事を書きましたが、北極海についてはカナダも
沿岸国として今後の世界の注目度はより一層高まっていくかと思います。

さてさて、今回カナダを選んだ理由はクラッドのtwitterにて、複数の人から希望を
頂いたためです。ご希望下さいました皆様ありがとうございました。
最近では多くの方から私の地政学編を読んで頂いて面白かった!とか勉強になった!
とのコメントを頂いておりまして嬉しい限りですね。
今後とも色んな国家を地政学編としてまとめていきたいと思います。
ブログのコメント欄でもtwitterのリプでも紹介して欲しい国家や特定の地域の
地政学など、気になる事あれば教えて下さいませ。
時間はかかるとか思いますが、1つ1つ紹介記事を書いていきます!

最後に、本記事が面白かったと思う方ははてなブックマーク登録して頂けたら
めちゃめちゃ嬉しいです!!!!お願いします!!!

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以下参考サイトなど
カナダーWikipedia
GLOBALNOTE
世界の天然ガス生産量 国別ランキング・推移 出典・参照:BP
世界の原油(石油)埋蔵量 国別ランキング・推移 出典・参照:BP
世界の石炭生産量 国別ランキング・推移 出典・参照:BP
世界のウラン生産量 国別ランキング・推移 出典・参照:WNA
世界の石油輸出額 国別ランキング・推移 出典・参照:UNCTAD
カナダの人口、歴史、宗教、GDP、平均年収は?
カナダの農林水産業概況ー農林水産省
カナダの歴史略年表
カナダー世界史の窓
フレンチ・インディアン戦争ーWikipedia
カナダ・ファクト
カナダの人口、高齢者が初めて子ども上回る 100歳以上は41%増
カナダ移民する人の出身国
世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング
カナダの経済ーWikipedia
ケベック独立運動ーWikipedia
焦点:シェール革命、次はカナダか
地政学で読む世界覇権 2030
シェールガスーWikipedia
ケベック問題-コトバンク
セントローレンス海路ーWikipedia
カナダ楯状地ーWikipedia
ケベック州ーWikipedia
経済・政治・社会情勢と国民の志向
カナダ ビジネスガイド
アルバータ州ーWikipedia
アルバータ州の基本情報
カルガリーーWikipedia
期待の新星、オイルサンドの失速が始まった
鮮明になってきた米国シェール革命の限界

ケベックの歴史と独立運動の発展(前編)

  

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