【地政学編 アイスランド】~資源小国から再生可能エネルギー大国に大躍進! 大西洋上に浮かぶ島国の国家戦略~

よろしければシェアお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ

皆さんこんにちわです。クラッドです。
いつも【クラッドの投資で自由を掴むブログ】を見て頂きありがとうございます。
今回はアイスランド共和国という国家を地政学の視点からお話したいと思います。




アイスランド共和国の概要


アイスランド共和国の概要

アイスランド共和国(以下:アイスランド)はグリーンランドとスカンジナビア半島の中間、北極圏のすぐ南に位置する国家である。
島の沿岸部を北大西洋海流(暖流)が流れており、高緯度に位置する割には温和な気候であり、冬季でも平均気温がゼロ度以下になる事は少ない。
大西洋中央海嶺上(※)に位置する世界最北の島国であり、全島の約80%が火山性地帯に属している。全島で30の活火山を有しており、国土の約11%を氷河が占めている事から、【火と氷の国】と称される。
農地は極端に少なく国土全体の約1%程度であり、食料自給率は6%と非常に脆弱だが、世界有数の漁場を近海に持つため漁業が非常に盛んである。
国内に豊富にある水資源と地熱資源を有効活用し、水力発電と地熱発電により電力の完全自給を達成している再生可能エネルギー大国である。
また、安価な電力を利用したアルミ精錬産業が盛んであり、魚介類と並ぶ重要な輸出品である。その他、近年は金融業と観光業が近年は伸長。
ヨーロッパで最後に入植した地でありながら、西暦930年には世界初の議会が開かれており、伝統ある国家である。

◇アイスランド共和国:Republic of Iceland

◇公用語:アイスランド語

◇首都:レイキャビク(世界最北の北緯64度8分に位置)

◇首相:カトリン・ヤコブスドッティル

◇国土面積:10万3,000k㎡(世界第106位)
(北海道よりやや大きい程度の面積)

◇人口:34万1,250人(世界171位)(2020年)
(引用先:populationpyramid.net)

◇GDP(名目):25.97(10億ドル)(世界106位)(2018年)

◇通貨:アイスランドクローナ

※海嶺とは
ざっくり言うと、新しいプレートが誕生するところという認識でOKです。

アイスランドの過去と現在

この章ではアイスランドの過去と現在についてお話しようと思います。

まずは、アイスランドの歴史を見てみましょう。
==========================================

◇前史◇
1600万年前にアイスランド島は火山活動により大西洋上に誕生。
元々は無人の島であるが、紀元前300年頃に古代ギリシア人によって発見されたという記録がある。
中世の時代にはヨーロッパ人からはウルティマ・トゥーレ(=極地、北の果て)と呼ばれ
存在自体が忘れ去られていた。
************************************************
◇アイスランドへの移住◇
793年にヴァイキング時代が到来。
870年頃にインゴゥルブル・アルトナルソン率いるヴァイキングの集団が最初の入植者とされる。
930年までにはノルウェーのノルマン人(=ヴァイキング)、スコットランドおよびアイスランドのケルト人が中心となり、約2万人が移住した。
930年には全島の政治調整機関としてアルシングが創設され、植民活動は終了。
これは世界最古の近代議会と呼ばれており、毎年夏に2週間にわたり開催された。
************************************************
◇キリスト教化の始まり◇
アイスランドの移民の間では異教信仰(=北欧神話)が優勢であったが、
10世紀までにキリスト教への改宗を強いるノルウェーの圧力が高まっていった。
そして、国内では徐々に古い信仰を守る人々とキリスト教を信仰する人々との間で対立が深まり、内戦の危機に瀕していった。

1000年にはアルシングでは両者が激しく論争する中で、会場近くで噴火活動が始まる。
これをきっかけにキリスト教を国教としつつも、異教の神々もひそかに崇拝しても良いという政策を行う様にした。

10世紀~13世紀の間に、大麦・小麦・ワイン・木材が輸入される様になり、シロハヤブサなどの猛禽類、セイウチやイッカクの牙など希少財、羊毛布のヴァズマールなどが輸出されていった。
************************************************
◇北欧諸国からの支配◇
1241年に権勢を誇っていたスノッリ・ストゥルルソンが暗殺され、徐々にノルウェーの影響を受ける様になっていった。
1262年にアイスランドはノルウェー国王の支配をうけ、
1264年にはノルウェーの完全な属国となるに至る。
これにより、立法権、司法権は著しく制限され、アルシングも形骸化していく。
1380年にはノルウェーがデンマークの属領となったため、アイスランドもデンマークの支配下に入った。

14世紀以降には干し魚が重要な輸出品目となり、特にタラが用いられた。
この時代に漁業が主要産業に成長し、16世紀のアイスランドの紋章には王冠を戴くタラが描かれる様になる。
なお、この北欧諸国から支配されている時代に、ノルウェーによる支配やペストの流行により全人口の3分の2が死亡している。
1550年にはデンマークの強制により新教であるルター派に改宗を行う。
1783年~1785年にラキ火山が噴火などにより80%の羊が犠牲となり大規模な飢餓を引き起こし人口が大幅に減少。

************************************************
◇アイスランドの独立◇
18世紀半ばには産業振興が行われ、人口も回復していく。

1814年のキール条約により、デンマーク=ノルウェーが解消されたが、アイスランドはデンマーク領として残された。
1843年には制限されていたアルシングが諮問機関として再スタート。
1854年には外国との通商交易の完全自由化を獲得。
1874年には殖民1000年を迎え自治法が制定され、デンマーク王から憲法と財政的独立が承認される。

1901年にイギリスからトロール船を導入した結果、近海のタラを中心とする豊富な水産資源で
巨額の富を蓄積していく。
1904年にはデンマークの自治領となる。
1917年には女性にも選挙権が付与され、1918年にはデンマーク国王を元首と外交を共通にするアイスランド王国として同君連合として成立。
(実質的には自治領と同程度であり半独立国家といった状態。)

第二次世界大戦中の1940年4月にデンマークがナチスドイツに占領され、
ナチスドイツに対抗するため5月にはイギリスにより全土が占領された。
さらに翌月の6月にはイギリスから引き継ぐ形でアメリカの占領下となる。
この時代、デンマーク本土と分離された結果、完全独立の機会を手に入れる事となる。
1944年にはデンマークから分離・独立を宣言し、アイスランド共和国として成立。
独立後も近海のタラ漁業はアイスランド経済の一大産業であり、国家の生命線であり続けた。
************************************************
◇独立後のアイスランド◇
第二次世界大戦後、1946年にはアメリカ軍が撤退。
1947年に現在のOECDの原加盟国、1949年にはNATAの原加盟国となる。
1951年には冷戦の激化に伴い、アイスランドは大西洋の中心に位置するという戦略的意義から、米ソ両国が接近する事となっていったが、アイスランドは西側寄りとなりアメリカ軍の駐留が開始。

1958年~1976年の間に主にイギリスとの間で三度に渡るタラ戦争が勃発。
・第一次タラ戦争
1958年にアイスランドが自国の領海を4海里から12海里に拡大すると宣言。
これに反発したイギリスとの間で勃発。
1961年にはイギリスが12海里を承認し、終結。

・第二次タラ戦争
1972年にアイスランドで政権交代が起こり、漁業専管水域を50海里に拡大すると宣言。
これに反発したイギリスと西ドイツが国際司法裁判所へ提訴し、イギリス側の主張を認めた。しかし、アイスランドはこの判決に従わずイギリスは漁船保護のために軍艦を派遣し、
武力衝突に発展。
アイスランドはこの対抗措置として、NATOのイギリス戦闘機を管制空域から締め出して国交を断絶すると宣言。
交渉の結果、イギリス艦隊はすべて本国に帰還する事となった。
1973年アイスランドはイギリス船が50海里内の一部の水域に限定しての漁業を認め、第二次タラ戦争は終結。

・第三次タラ戦争
1975年にアイスランドは近海の水産資源量が回復しなかったため、漁業専管水域を200海里に拡大すると宣言。
同年11月にはアイスランドとイギリスの間で再び武力衝突が起こるが、死者は出なかった。
1976年にアイスランドはイギリスとの国交断絶を宣言。(NATO加盟国同士で初の事例)
その後、ヨーロッパ経済共同体(EEC)は200海里排他的経済水域の設定を容認し、イギリスの主張が通る事はなかった。
最終的には、アイスランドの200海里内でイギリス漁船は制限付きでの漁業が認められ、
両国は合意し、国交が回復し、第三次タラ戦争は終結した。

************************************************
◇現代のアイスランド◇

1980年には世界初の女性大統領が誕生。
1986年には首都レイキャヴィクにあるホフディハウスで米ソ首脳会談を開催。
1994年にヨーロッパ経済領域(EEA)に参加し、ヨーロッパ本土との経済活動を緊密化。
1996年にヴァトナヨークトルの氷河底火山グリームスヴォトンが大噴火。
同年北極圏の8か国で北極評議会が発足。
2006年に冷戦終結に伴いアイスランドの軍事的な価値が低下した結果、ケプラヴィーク基地は閉鎖され、アメリカ軍の駐留部隊は撤退。
2008年にアメリカ発の世界金融危機の影響により主要銀行が破綻。債務不履行に陥り、アイスランド経済は破綻の危機に瀕する。
その後、破綻の危機を回避し、漁業・アルミニウム産業・観光業を主軸に経済成長を維持している。

現在でもアイスランドはヨーロッパ連合(EU)には未加盟であるが、シェンゲン協定(パスポート無しでの国境通過などの人的協力)には加盟し、ヨーロッパ諸国とは司法・内政分野における協力等を通じて協調関係を維持している。
しかし、2008年の世界金融危機以後は、EUの加盟とユーロ導入で国内世論が二分される状態となっている。

そして、現在に至る。
==========================================

次にアイスランドの世界との関わり方を見てみましょう。

アイスランドの外交基本方針

(1)北欧諸国との協調継続と経済重視外交
(2)得意分野を通じた国際貢献
(3)北極問題への取組

参考:外務省ーアイスランド共和国(Republic of Iceland)
基礎データ

アイスランドはヨーロッパ諸国、その中でも特に北欧諸国との友好関係と経済関係を
重視しております。
また、北極圏に面している事から北極での影響力行使も近年は重視する様に変化。
これは、地球温暖化の進展に伴い、北極の氷が融解。北極に眠る膨大な地下資源と
北極海航路という形で世界経済の物流を大きく変化させる事が期待されるからとなります。
なお、2017年を境に経済成長著しいアジア諸国・非ヨーロッパ圏との経済関係深化も

重視する様になってきています。

==================================
アイスランドの輸出入主要国・地域内訳(2017年)
==================================
輸出上位

輸入上位

上記の様に輸出・輸入ともにアイスランドはヨーロッパ諸国との貿易が非常に活発に
行われている事がわかります。
日本とアイスランド間でも貿易はありますが、金額面ではさほど大きな関係性はありません。

まとめ
アイスランドは歴史ある国家であり、北欧諸国との関係性を重視。
近年は北極海の地勢変更に伴い、影響力拡大を目指す。




アイスランドの産業構造

この章ではアイスランドの産業構造についてお話します。

==================================
◇アイスランドの産業構造◇

主要産業:水産加工、アルミ製錬、フェロシリコン、地熱発電、水力発電、観光

第一次産業(農林水産): 5.7%
第二次産業(鉱業、製造、建設、電力):22.4%
第三次産業A(卸売、小売、運輸):12.6%
第三次産業B(飲食、宿泊):11.1%
第三次産業C(情報通信、金融、不動産、その他サービス):48.1%

アイスランドのGDP構成比は上記の様になっており、アイスランドの産業構造は
第一次産業に占める比率は相対的に大きくなっています。これは、漁業が盛んである
事の証左となるでしょう。
そして、後述しますが第二次産業の比率も22%を超えており、アルミニウム産業が
盛んである事が反映されています。
第三次産業の比率は大きく、金融業や不動産が発展。近年はソフトウェア産業や
観光業が大きく伸長しています。

2016年のアイスランドの輸出入の主要品目
輸出 1位:魚介類40.3% 2位:アルミニウム35.6% 3位:機械類3.9%
輸入 1位:機械類22.0% 2位:自動車11.0% 3位:石油製品10.0

アイスランドの特徴としては、漁業とアルミニウム産業が非常に盛んである
という事になるでしょう。
アイスランドには競争力を有した製造業は他には存在しておらず、機械や自動車は他国からの輸入が優勢の様です。

貿易依存度(2016年)
輸出:22.4% 輸入:27.9%
貿易依存度に関しては輸出・輸入双方ともに相対的に高い数値を示しています。
アイスランドはその国土の特性から天然資源はほぼほぼ産出しておらず、アルミナなど
は輸入に依存。機械類や自動車も相対的には競争力を有していないため、輸入に依存と
いった状況の様です。
また、国内人口が少ない事から内需が小さいため豊富に産出される魚介類や安価な電力を
利用して精錬されたアルミニウムを輸出している様です。
(※参考 日本の貿易依存度は 輸出:13.1% 輸入:12.3%)

発電比率(2014年)

2014年とやや古い数値データとなりますが、アイスランドの電力は
水力発電と地熱発電により、国内の必要電力が発電されています。
そのため、
エネルギーの安全保障ではアイスランドは一国で完結させる事ができ、他国の情勢に左右される事はありません。
水力発電と地熱発電を最大限有効活用する事で、ヨーロッパでも最安値と言われる
電力価格を実現しています。

==================================

次にアイスランドの各種産業についてお話します。
ここでは、農業・漁業・アルミニウム産業について絞って記述します。
アイスランド経済の特徴であるエネルギー産業のついては後ほど記述します。

※お世辞にもアイスランドの農業は特筆すべき点はありませんが、その国家を知る
うえでは、農業生産の情報は食糧の安全保障にも直結するので記述しております。

農業
後の章でも紹介いたしますが、
アイスランド全島の約80%が火山性地帯に属しており、
窒素量および有機物量が少なくやせ細った大地が多く、農業には不適格な大地が広がって
いるのが実情となります。

穀物全体の生産量では3,900トン(2018年)となっており、世界第162位に位置しています。

農業における農作物の生産力は乏しいため、国内需要の多くを輸入に頼っています。

農産物・食料品
輸出額 世界第72位 (2019年)
輸入額 世界第128位 (2019年)
農業生産額 世界第131位 (2018年)
※農作物・魚介類・肉類・飼料・飲料・煙草・動植物性油脂類など含む。

アイスランドの穀物自給率は6%となっています。(2017年)

・アイスランドの土地利用と国土に占める比率(2014年)
耕地面積:12万ha 1.2%
牧場・牧草地:175万ha 17.5%
森林:5万ha 0.5%
農業従事者一人当たりの農地:170.2ha
GDPに占める農業生産の比率:6.2%

アイスランドの耕地面積はわずか1%程度となっており、非常に規模は小さい事が
わかります。

さらに森林は0.5%程度しかなくアイスランドの大地には森林というものはほぼほぼ
皆無と考えて良いでしょう。
ちなみに、現在のアイスランドは森林面積はほぼ皆無ですが、8世紀~10世紀の人類
が入植してくる前は国土面積の3割~4割が森林に覆われていたとされ、緑の大地が
広がっていた様です。

それでは、アイスランドで生産されている有名な農作物を見てみましょう。

==================================
アイスランドには世界の生産量ランキングBEST3にランクインする品目はないため、
生産されている農作物の紹介をしておきます。

世界生産量第90位 ◇大麦
世界生産量第150位 ◇キャベツ・白菜類
世界生産量第113位 ◇ニンジン・カブ類
世界生産量第106位 ◇キュウリ類
世界生産量第133位 ◇ジャガイモ
世界生産量第151位 ◇トマト
世界生産量第93位 ◇ブロッコリー・カリフラワー


※どの品目も2018年のデータとなります。
==================================

◇漁業
ヴァイキングがアイスランドに入植して以降、漁業は現在までアイスランドの
主要産業としての地位を占めています。
アイスランド経済の発展に伴い漁業のGDPに占める比率は年々低下傾向となります
が、それでも漁業が果たしている役割は非常に大きい状況となります。
2016年の輸出に関しては、魚介類が40.3%となり国内経済への影響度は非常に高くなっています。そのため、世界の魚価格に敏感の反応する経済構造となっています。

アイスランド島の近海では北大西洋海流(=暖流)と北極方向からの寒流が
ぶつかり合い潮目を形成しており、この付近の海域は世界有数の好漁場となって
います。
ニシン、タラ、シシャモ、ハドック、セイス、レッドフィッシュ等が主な漁獲品目であり、
この6種で全漁獲量の7割近くを占めています。
ちなみにシシャモ(=カラフトシシャモ)は日本にも多く輸出されています。

水産物の漁獲量・生産量では1,297,478トン(2018年)となっており、
世界第21位に位置しています。

世界生産量第2位(2018年)
◇タカラフトシシャモ ノルウェーに次ぐ
メバル・カサゴ類 生産量:59,217トン アメリカに次ぐ

世界生産量第3位(2018年)
◇クジラ(鯨類) 生産量:152頭 日本・ノルウェーに次ぐ

世界生産量第4位(2018年)

◇タラ(鱈)類 生産量:693,227トン ロシア・アメリカ・ノルウェーに次ぐ

◇アルミニウム産業
アイスランドは塩以外の天然資源はほぼほぼ産出されず、非常に資源に乏しい国家となります。
さらに目立った製造業などもないアイスランドではありますが、アルミニウム産業は世界的にも非常に高い国際競争力を有してる分野となります。

その理由としては、アルミニウムの精錬工程には大量の電力が必要であり、アイスランドの様に水力発電と地熱発電により安価な電力を安定的に供給できる事は強みとなります。

ちなみに、アイスランドでは上述の通り目ぼしい天然資源は有していないため、アルミニウムの原料となるアルミナ(厳密にはボーキサイト)は資源国から輸入しています。

2015年のアルミニウムの生産量は800千トンで世界第10位に位置しています。

==================================

今回は大きくは触れませんが、近年では観光業やDC事業(データセンター事業)なども
大いに発展しており、今後の成長が期待されています。

アイスランドで有名なブルーラグーン
自然に湧出する温泉ではなく、隣接する地熱発電所が汲み上げた地下熱水の排水を再利用した施設となります。
露天温泉としては世界最大となり、アイスランド随一の観光スポットとなります。

まとめ
豊富な漁業資源を有している漁業大国であり、アルミニウム産業が勃興。
その他にも、今後の成長が期待できる産業が生まれつつある。




アイスランドの人口動態と経済成長

この章ではアイスランドの人口動態と経済成長についてお話します。

2020年のアイスランドの人口ピラミッドは下記に様になっています。

(引用先:populationpyramid.net)

アイスランドの人口ピラミッドは砲弾型とされています。

砲弾型は中長期で見ると、人口が緩やかに増えていく事が予想され、少子高齢化も
大きく進展しないとされています。

次にアイスランドの人口推移と予測です。

アイスランドの人口については、2055年頃までは伸び続ける事が予想されています。
2054年頃に人口の最大値となり、それ以降は緩やかな人口減少社会に突入していくもの
と予想されています。

アイスランドの2017年の合計特殊出生率は1.74(2018年の日本は1.42)となっています。
1985年~2009年までは1.92~2.3の間で推移し、2009年の2.23からここ10年程度は
右肩下がりとなっています。

相対的にアイスランドの合計特殊出生率はEUやOECD諸国より高い数値を維持しており
ましたが、近年は出生率の低下傾向が顕著であり、近い将来には少子高齢化社会への
突入はほぼ間違いないと予想されています。

次にアイスランドの名目GDP(ドル建て)となります。

アイスランド経済は1980年以降もキレイな右肩上がりを継続しています。
2008年のリーマンショックの影響により、翌年の2009年に名目GDPが前年と
比較してマイナスとなっていますが、それ以降は名目GDPは増加し続けています。

次はアイスランドの一人あたりの名目GDP(ドル建て)を見てみましょう。

名目GDPと同様に、2008年のリーマンショックの影響により、一時的に景気の減速が
みられます。

しかしながら、その後は一人あたりの名目GDPもキレイな右肩上がりを継続しています。

ちなみに、
アイスランドの一人あたりGDPは74,515.47ドルで世界第6位(2018年)
となります。

日本の一人あたりGDPは39,303.96ドル(2018年)であり、日本の約1.89倍の豊かさを有している国家となります。

まとめ
一人あたりのGDPは世界有数の額であり、人口も2050年頃
までは増加傾向を維持。

アイスランドの地勢

この章ではアイスランドが置かれる地勢的な観点についてお話します。

まずはアイスランドの衛星写真を見てください。

(出典:「地理院地図」(国土地理院))
(編集:クラッド)

上記画像の様に北米大陸プレートとユーラシア大陸プレートが生成される境界
にアイスランドの国土は位置しています。
(画像の水色:プレートの境界)

冒頭でも紹介したように、プレートが生成される場所=大西洋中央海嶺上に位置して
いるため、
アイスランドは常に引き裂かれる境界線上にあります。
そのため、アイスランド島には大地の裂け目が生成されます。

これをアイスランドでは【ギャオ】と呼んでおり、海洋プレートの生成が海面より
上で(=地上で)見られる非常に珍しい場所となります。

また、それらの地形的影響により、アイスランド全島の約80%が火山性地帯に属しています。全島で30の活火山を有しており、国土の約11%を氷河が占めている事から、
【火と氷の国】と称されます。
なお、アイスランドの中央高地はほぼ無人地帯となっています。

そういった地形的背景のため、アイスランドの土壌は火山性土壌が優勢となります。
この土壌の特徴としては窒素量および有機物量が少なく農業には適したものではありません。

これらの自然環境・地形的に人類の居住には厳しい環境が広がっている事から、
アイスランドの居住地は海岸部に集中する形となっています。
特に首都レイキャビクを中心とした大レイキャヴィークおよび南西部に人口が集中しており、全人口の約6割は大レイキャヴィーク周辺に集中しています。

そういった意味では、
非常に国土開発が困難であり、
安全保障の観点から言えば脆弱な国家
と言えるかもしれませんね。

しかしながら、その過酷な自然環境を技術と知恵を使い、国家の発展に役立てており、
一人あたりのGDPでは世界有数の規模である事から、国家運営での戦略は非常に
重要である事がわかります。

ちなみに、世界的に見れば人口も少なく、経済規模も小さいアイスランドですが、
国際政治の舞台で大いに活躍した歴史があります。

それは、第二次世界大戦が終結し、西側陣営のアメリカと東側陣営のソ連といった形で
世界を二分し鋭く対立した東西冷戦の時代に遡ります。

この東西冷戦を終わらす事になった直接・間接的な要因は幾多にも存在しますが、
1986年の10月に首都レイキャビクのホフディハウスで行われた米ソ首脳会談が
大きな基点となったのは間違いありません。

そして、何故米ソ首脳会談にアイスランドが選ばれたかというと、
下記の地図を見てもらえたらわかると思いますが、
米ソの首都のちょうど中間に
位置するからです。
そういった意味で、アイスランドが世界史で果たした役割は小さくないでしょう。

(出典:「地理院地図」(国土地理院))
(編集:クラッド)

まとめ
アイススランドは島そのものが非常に価値のあるものであり、
その特異な立地により世界史でも大きな役割を果たした事が
ある。

アイスランドの地政学的戦略


この章ではアイスランドの地政学について2つご紹介しようと思います。

紹介する項目としては
・エネルギー安全保障
・北極海戦略
の2つとなります。

◇アイスランドのエネルギー安全保障◇

上述の通り、アイスランドは火山と氷の国であり、地熱資源と水資源を豊富に有している国家となります。
現代のアイスランドは再生可能エネルギー大国として世界的にも広く知られている国ではありますが、昔からそうだったわけではありません。
アイスランドには石炭や石油、天然ガスといったエネルギー資源の産出が皆無であり、
海外からの輸入に依存していた典型的な資源小国でした。

しかし、1973年の石油危機を契機にアイスランドのエネルギー戦略が大きく転換される事となります。
石油危機により、
国家の存続に必須のエネルギー資源を安定的に確保出来ない可能性
が浮き彫りとなり、国内に豊富に存在する地熱を最大限有効活用する事が基本方針となり
ました。
これ以後、地熱発電の開発に力を入れる様になっていきます。

現在では電力の約3割が地熱発電から供給され、残り約7割が水力発電から供給されており、
電力の完全自給を達しています。(※注)。

そのため、現在は火力発電も原子力発電も一切存在しておらず、1980年代には火力発電を廃止
しています。

アイスランドは他国に依存しないエネルギー構成を確立したため、エネルギー安全保障では非常に強靭な国家であると言えます。

また、水力発電と地熱発電から安価な電気を大量生産する事で、国内の製造業の勃興に大きな貢献をしています。
それが、先ほど【アイスランドの産業構造】で述べておりますアルミニウム産業となります。

アルミニウムは電気の缶詰と言われるほど精錬には莫大な電力が必要となります。
そのため、アルミニウムの精錬を行う際に電力価格が安価という事は、製造コストを
抑える事ができ、価格競争力を引き上げる効果があります。
また、近年はアイスランドの冷涼な気候と安価な電力を利用したデータセンター誘致が伸長
しており、自然環境に適合させた国家運営を行っております。

そして、近年は海上での地熱発電の開発も始めており、再生可能エネルギー大国として
さらなる進化を遂げようとしています。

※注意
国内消費エネルギーのうち、約7割を水力発電と地熱利用によって賄っている。
残りの約3割が石油などの輸入化石燃料によって賄われ、そのほとんどは自動車及び船舶の燃料として使われている。
そのため、あくまで電力の面での完全自給である。

◇アイスランドの北極海戦略◇

次は近年、注目度が急速に高まっている北極海について触れておこうと思います。

北極海全体の地政学としては今回は詳しい事は触れず、北極海でのアイスランドの戦略を紹介してみようと思います。

まずは簡単な北極海についての説明です。
皆さんもご存じの通り、近年は地球温暖化の影響が日本だけでなく世界全体でも顕著に表れてきています。
それは極地である北極海でも大いに出ており、年中厚い氷に覆われており航行が困難であった北極海が航行可能な地域となりつつあります。

北極海は【氷に閉ざされた海】から経済活動が可能な【解放された海】へと変貌を遂げつつあります。
こういった背景から資源開発・北極海航路の開通の実現性・地政学的重要性が近年急速に高まっています。

2040年には一年中北極海は通行可能となっており、
2050年には北極海を覆う氷はなくなるのでは?とされています。

上記の図の様に現在検討されている北極海航路というのは下記の2つの航路が存在しています。
アメリカーカナダ側を経由する北西航路
スカンジナビア半島ーロシアを経由する北東航路

しかしながら、カナダの北極海沿岸部は多島海と言われており、複数の島々が点在するために、かなり複雑な航行をする必要があるとの事です。
そのため、当面は北東航路の利用に重点が置かれる事になるでしょう。


さて、それでは本題のアイスランドの北極海戦略についてです。

アイスランドの北極海戦略として考えられる事としては、
北極海航路のハブとなる事でしょう。

アイスランドは北西航路でも北東航路でもそれらの基点としての位置に国土が存在している事から、ヨーロッパ・北米から北極海を抜けてアジアに向けての貿易を行う際の寄港地としての役割が期待できます。(アジアでいうシンガポールの様な立ち位置)

さらに、首都のレイキャビクとは反対側の東海岸に大きな港湾の開発計画もあるとの事で、
今後のアイスランド政府の動向には注目かと思われます。

************************************************
アイスランドは自国の置かれている状況を正しく認識し、それらを国家戦略として実行している事がよくわかるかと思います。
地熱や水力を最大限有効活用し、再生可能エネルギーの利用を推し進める事で国家のエネルギーの安全保障の問題を解決。
ついで、安価に生産された電力を使う事でアルミニウム産業を国内に誘致し、国内産業の発展と雇用を確保。
そして、近年は北極海航路就航を睨み、物流の拠点としての可能性を模索している。
アイスランドの国家戦略は非常に示唆に富んでおり、学ぶべき点が多いのではないでしょうか。

まとめ
アイスランドは国内の自然環境を巧みに利用し、国家の発展に存分に活かしている。




終わりに


地政学編第17弾 アイスランドは如何でしたでしょうか。

アイスランドの人口規模はたかだが35万程度であり、国家全体のGDPも世界全体では100位程度であり文字通りの小国となります。

しかしながら、本記事で紹介した様にアイスランドという国は資源小国から再生可能エネルギー大国へと変貌を遂げた国家となります。
もちろん、人口規模が小さいため、経済政策なども敢行しやすいといった背景はあるでしょう。
しかし、エネルギー資源の大部分を海外の輸入に依存している日本も学ぶべき点が非常に多い様に感じます。
特にエネルギーの安全保障は日本の過去でも現代でもずっとついて回る問題である事から、
自国内の資源を戦略的に開発・利用する事は行っていくべきだと思います。

最後におまけとして、アイスランドと日本の関係に少し触れておきます。

アイスランドにおける地熱発電の重要性は既に述べておりますが、その地熱発電には日本の技術が非常に大きな貢献をしています。
アイスランドの地熱発電所では三菱重工業や富士電機、東芝など日本製の機器が多く使われています。
発電所運営には腐食成分を多く含む地熱の蒸気に堪える必要があり、それらの特殊な金属を精密に加工する技術では日本企業が圧倒的な地位を占めているからです。

そういった面では、日本も地熱資源は世界有数である事から、アイスランドの地熱資源開発から学ぶべき内容は多いでしょうね。

また、今後地球温暖化が進展し、北極海航路の利用が広がっていった際に、日本におけるアイスランドの重要性は高まっていくでしょう。

本記事で、アイスランドという国家についての理解が少しでも深まったのなら
幸いです。
長い文章となりましたが、最後までお読みくださってありがとうございました。

本記事が面白かったと思う方ははてなブックマーク登録して頂けたら
めちゃめちゃ嬉しいです!!!!お願いします!!!
(次の記事の執筆のモチベーションになるので・・・笑)

このエントリーをはてなブックマークに追加




noteでも公開していますので、購入してくれたら・・・嬉しいです!!(露骨な宣伝)

自由を掴むために・・・!!!

励みになります。応援クリックお願いいたします。
コメントもお待ちしております!

当ブログに記載してあります内容の無断転載はお断りしております。
引用などされる場合はコメント、もしくは当方のtwitterアカウントなどで連絡を下さい。

以下参考サイトなど
Wikipedia
ーアイスランドの火山活動
ーアイスランドの氷河
ー海嶺
ーアイスランドの地理
ーアイスランド
ーケプラヴィーク
ーホフディ・ハウス
ーアイスランドの歴史
ーアルシング
ーブルーラグーン
ータラ戦争
GLOBALNOTE
ー世界の1人当たり電力消費量 国別ランキング・推移
ー世界の穀物生産量 国別ランキング・推移
ー世界の水産物の漁獲量・生産量 国別ランキング・推移
ー世界のタラ(鱈)類の漁獲量・生産量 国別ランキング・推移
ー世界のカラフトシシャモの漁獲量 国別ランキング・推移
ー世界のメバル・カサゴ類の漁獲量 国別ランキング・推移
ー世界のクジラ(鯨類)の捕獲数 国別ランキング・推移
ーアイスランドの農産物生産量 統計データ
ーアイスランドの農業経済・インフラ 統計データ
世界経済のネタ帳
ーアイスランド
ーアイスランドの一人当たりのGDPの推移
ーアイスランドのGDPの推移
再エネ電力100%の国、アイスランドの地熱発電所体験
日本経済新聞
ー電力の3割が地熱 アイスランド、蒸気使い尽くす技
中国、北極海でも覇権狙う 「一帯一路」の要所へ 米は対抗策必要
アイスランドの安全保障防衛政策と国際平和活動
ロシアの脅威と北欧のチャイナ・リスク──試練の中のスウェーデン
地球の温暖化で地政学に大きな変化が
地熱発電能力国別ランキングTOP10「なぜ火山国の日本で普及しない!?」
世界開発指標
ー出生率
人口ピラミッドから見える世界各地、国家の現状と将来(4)
アイスランド人口の2/3が住んでいるエリアはここ(地図)
帝国書院
ー穀物の自給率 〔2017年〕
世界史の窓
ーアイスランド
主要漁業先進国の漁業政策の分析
2020年、北極海航路とアイスランド〜北海道
東京都議会
ーアイスランド共和国(レイキャビク)

解析

よろしければシェアお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ